見上げた空は広かった
ハナ2.2 人は他人に騙されるより自分自身に嘘をつきたがる者だ。
アルベルトが「好きだよ」と言った。
正直、彼から一番聞きたくない言葉。

私は彼の孤独を紛らわすためだけに必要とされているのであって、別に彼にとっては私の代役などいっぱいいるだろう。
自分の中では割り切っていたつもりなのに「好きだよ」の一言で心の中の何かが溢れ出しそうになった。
「好きだよ」なんて言われたらその言葉が嘘だとしても
この目の前にいる孤独な少年を守ってあげたいと思ってしまう。
離れないといけない時に離れられなくなる。
私はいつも誰かに必要とされたいの。
だって誰かに
「君がいないといけないんだ」と懇願される様な狂った愛に憧れているから。

だからその気持ちが溢れ出さない様に精一杯の微笑みで「嘘でしょ」と返した。

きっとアルベルトはこの雰囲気に飲まれて言ってしまっただけなんだ。
そして自分もこの雰囲気に飲み込まれてしまっているだけなんだ。
私はそこまで必要とされていないと自分に言い聞かせ傷つかないためのバリアを張る。
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