俺が愛した、あおいの話
かずやの話
うっすら開けたまぶたの中に日の光が優しく入り、スマートフォンを手に取った。

アラームは、、、まだ鳴ってない。

時々こうして、寝ている途中で、目覚めてしまう朝がある。

こういう日には、いつも決まって、蒼井望の夢を見ていた。

「和也のこと大好きだった。ずっと、一生忘れない」


あれから8年以上も経つのに、いまだに蒼井は制服姿で、今にも泣き出しそうな笑顔で、同じ言葉を繰り返した。

どうして思い出にするんだ?
好きなら一緒にいればいいだろ?!

そう思いながらかけた電話は、夢の中でも繋がらなかった。

ーーーおかけになった電話番号は、現在使われておりません。


ダブルベッドから体を起こして、再びスマートフォンを手に取った。

アラームが鳴る時刻までは、、、
あと5分だ。起きるしかない。

閉じそうな目をこすりながら、ボーと寝室を見渡す。

一人暮らしには広すぎる部屋だ。
二人暮らしなら、多分丁度いい。

多分丁度いいはずだけど、二人で暮らす予定はない。

先月まで住んでいたアパートは、上京した時に借りたところで、ボロかったし一人でも狭かった。けど、立地は悪くなかった。

だから大学を卒業しても、大企業に就職しても、金銭的に余裕が生まれても、そのまま暮らし続けていた。

「このアパートから出て行く時は、蒼井のことを諦めた時さ」

8年前に俺が言ったことを、、、
さやかは今でも覚えてるかな。
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