最後の恋
「…あり、がと…。」


恵里からティシュの箱を受け取り涙を拭く。


そして、一緒にグズグズになった鼻をズズーっと盛大にかんだ。


「お前…その鼻のかみ方は一ノ瀬君の前では見せるなよ。…恵里も泣き過ぎ。」


呆れたようにそう言って苦笑しながら、恵里の涙を優しく拭いてあげているタケに


「そんなの、当たり前でしょ。」


泣きながらも、憎まれ口で答えると


「生意気…」


とタケが笑う。


私と恵里もお互い真っ赤になった目を見合わせながら笑いあった。
< 214 / 277 >

この作品をシェア

pagetop