最後の恋
年齢は私たちと同じ年なのに、肝心な名前は知らされていなくて…。


秘書課の誰もが知らなかったから、当日までシークレットにされているらしい。


「松野さん!」

「……‼︎ 」


いつの間にか部屋に戻ってきてたらしい室長に名前を呼ばれた。


不意に室長に名前を呼ばれるのは本当、心臓に悪い。


彼がこんな所にいるはずがないから彼じゃないと分かってるのに、心臓が勝手にドキンッと無駄な反応をしてしまうのだ。


「はいっ。」


慌てて声の主に返事をしながら顔を向けると、室長が受話器を置いた所だった。


「そろそろ専務が会長室から出られるそうだから、松野さん会長室まで専務をお迎えにあがってくれる?」

「はい。了解致しました。」
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