センパイのカノジョにしてください


お互いメニューを一冊ずつ見る。

「オレ決まった」

5分も経たないうちにそう言う圭太センパイ。

「早いですね~」

「うん、オレ日替わりランチにするわ」

「そうなんですね」

今日の日替わりランチはツインハンバーグセット。
メインのハンバーグ、1つはトマトソースでもう1つは和風ソース。

「ぷっ」

思わず吹き出してしまった。

「なんだよ」

「だって、圭太センパイがファミレスでハンバーグ以外食べてるの見たことないですもん」

圭太センパイがまだ中学にいた頃、この店は部活の帰りなんかによく寄ってた。
で、圭太センパイは食事をする時は必ずハンバーグを頼んでた。

「えー、そんなことなくない?」

「ありますよぉ」

「まぁそう言われりゃそうかも。だって、ハンバーグ、マジ最強じゃね?」

「ププッ」

思わず両手で口元をおさえて、私は必死に笑いをこらえる。

「なんだよ~」

「圭太センパイ、やっぱり変わってないですね」

「ハイハイ、どうせな」

おもしろくないことを言われてすねるような表情をするのもあいかわらずだ。
外見は変わったけど、中身はやっぱり私の知ってる圭太センパイだ。


私も圭太センパイに追いつけるように色々がんばりますから。
遠くに行かないでください。


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