I・N・G


昨日はこの時期には珍しく雪が激しく降ったけれど、積もることはなかった。

そして、今日は一転、晴れの舞台にはぴったりの天気。
コートもいらないほどだった。


教室や廊下、正門。
ありとあらゆる場所で別れを惜しんでから教科棟に向かう。

最初はゆっくりと、段々と目的地が近づいてくるにつれ、私の足は駆けていた。

別に待ち合わせなんてしていない。そこにはいないかもしれない。

だけど、いてくれてるはず。
うん、絶対にいるはずなんだ。

それを言えばきっと、「お前のためにいるワケじゃねーよ」って言うんだろうな。
メガネの奥の瞳をやさしく細めながら。


教科棟は教室がある棟と渡り廊下で続いていて、その名前の通り教科の専門教室があって、準備室や特別教室なんかもある。
教科しか担当していない先生なんかは職員室よりもこっちにいるほうが多い。

私の目指す場所は2階にある理科の準備室。
毎日何度となく通ったそこは、きっと目をつぶったってたどりつける自信があるよ。

あなたに会いたくて、あなたと少しでも一緒にいたくて。
毎日毎日、休み時間のたびに通った。

メガネの奥の瞳を細めながら、いつも私のことを「おいヒマ人」って言ってたよね。

ヒマだから来てたワケじゃないことぐらいわかってたのに。
いつもいつもそうやって呼んでたよね。


< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop