恋してアイビー



遡ること二時間前───



「お姉ちゃん!今からランドに行こう!!ランド!!」


「…はあ?」



私こと、多久島鈴乃には妹がいる。


多久島咲葵(さき)、私の五つ下で元気なおてんば娘。


その彼女が、一人暮らしの私の部屋にアポ無しでやってきて早々に口に出したのがこのセリフである。


当の私は、


「な、何。ランドって」


「は!?ランドって言ったらわかるでしょ!?あれよあれ!!」


「分かんないよ、あんたじゃないんだから」


「うっそ…お姉ちゃん流石にやばいよ、それは」


ランドやらを知らない私に絶句。


けれど、すぐに元の調子に戻って喋り出す。


「まあ、お姉ちゃんがいろんなことに疎いのは元からだから気にしないけど。ランドは、要は遊園地よ!一緒に行こっ!」


「はあっ?今から?私何も準備してないんだけど」


「知ってる!だから今すぐ準備して!!」



と、それからなし崩しにパワフルガール、我が妹に連れられランドとやらにやって来た。





やって来たのはいいが……


「あんのアホ…!!またスマホ忘れてるな…!」


迷いグセ&物忘れグセをもれなく発揮した妹とはぐれてしまったのである。


おまけに。


「あ、ママぁ!!」


ぎゅうっ!


身に覚えの無い子供登場に絶賛困惑中。


そんな二時間前だった。



< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop