胸いっぱいGYU

歩きながら久住さんに連絡をいれた。

今夜時間を取ってくれるらしい。

オレはガラにもなくウキウキしてしまった。


久住さんとの約束までまだ時間がある・・。

どうしようか悩んだ末、ひとつ思いついたことがあった。


実はこの街には昔からオレがよく利用していた画材屋がある。

その店があまりに奥まったところにあるせいか、店構えのせいかオレ以外の客をみたことがなかった。

だけど、細々と営業していた。

まだやっているだろうか・・。

ちょうど欲しい画材もあったし・・。


オレはホテルへ向かっていた足を180度回転させて来た道を再び戻った。

しばらく行くと細い路地がある。

そこを通り抜けると見えてくるのが例の画材屋だ。


どうやらまだ営業してるらしい・・。

相変わらず細々とがんばってるみたいだな。

オレは遠目から店の健在を確認した。


そして1歩ずつ店に歩み寄っていった。



「・・ん?」



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