胸いっぱいGYU
「沙都っ、待ったか?」

「え・・?ううん・・」

今は午後4時30分。校門前。

裕紀が少し汗を滲ませながら私のもとへ駆け寄ってきた。



裕紀を待っている間諒のことを考えていた・・。

美術室でのことが頭から離れない。

諒・・一体どうゆうつもりなんだろう・・。

私は一体・・どうゆうつもりなんだろう・・。


「どこいこっか?」

「え?」

裕紀は今日の放課後デートの行き先を聞いてきた。

ハッキリ言って・・どこでもよかった。

今はデートの行き先を考えている余裕なんてまったくなかった。

「べつに・・どこでもいいよ・・」

私ははにかんだ笑いと一緒に返答した。

「じゃあ・・オレんちでいい?」

「え?・・うん・・」

「よーーーし!」

そう言って裕紀はいそいそと私の肩を抱き、うれしそうにいつも通りの笑顔で歩く。




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