もう一度、あなたに恋していいですか
隣人の彼
初めて彼の目に見つめられたとき、私は瞬く間に恋に落ちた。

吸い込まれそうな彼の綺麗な瞳。
彼の手で触れられたい。
あの唇で私を奪ってほしい。

その想いは日に日に強くなっていった。

そして偶然二人きりになったとき、私は緊張してあまり話せなかった。
”好きです”
その言葉を口にしようとして躊躇う。
拒否されたらどうしよう。
そんな思いが私を立ち止まらせる。

そんなことを考えていると、何かが私の頬に触れる。
驚いて顔を上げると、彼の手が私の頬に触れていた。

私いまどんな顔をしているのかな。
あなたが好きって顔、しているのかな。
ばれちゃってるかもしれない、私の気持ち。
伝わればいいのに。

そんなことを考えているうちに、彼の唇は私の唇と重なっていた。
はじめは何が起こったのか理解ができなかった。

夢だと思った。
私の妄想。
だから私も、彼の唇に応えた。
何度唇を重ねただろう。
わからないほどに。

”いけない”だなんて考えは一ミリもなかった。
彼の左手薬指には、シルバーリングが光っていたのに。

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