もう一度、あなたに恋していいですか
不倫相手の彼女

彼女と出会ったのは、次年度から会社に入社する内定者との懇親会のときだった。
現役社員と内定者が30人ほど参加し、懇親会は会社近くのレストランを貸しきって行っていた。

乾杯を終え一時間半が経った頃、俺はほとんどの内定者と言葉を交わし終わっていた。

参加している内定者は20人だから、あと一人か。

19人と言葉を交わしあい、まだ話していない一人を探したがそれらしき人は見当たらない。

トイレか?それとも外か?

さすがに女子トイレには確かめにいけないので、扉を開け店の外に出てみる。

だいぶん肌寒くなったな。

10月になり気温はグッと下がりはじめ、夜は上着が必要なくらい寒くなった。
長袖のYシャツ姿で店を出た俺は肩を震わせながら見渡すと、スーツ姿の女の子が歩道と車道の間の柵に座って夜空を眺めていた。

「どうしたの?」

俺は彼女に声をかけると、彼女は少し驚いて俺の顔をみる。

彼女は前髪がぱっつんで後ろ髪は胸のあたりまでのストレートヘア、ほんのり赤みのかかった頬、唇は薄いピンク色の口紅をしていた。
顔は幼く、まだぎりぎり高校生でも通用するのではないかと思った。

「大丈夫?飲み過ぎて酔っちゃったの?」

「少しだけ…なので風に当たろうかと。勝手に抜けてごめんなさい。えっと…」

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