恋愛預金満期日 
恋愛預金 積立上昇
 仕事は益々忙しくなっていた。

 大変じゃないと言えば嘘になるが、やりがいもあり充実していた。

 何より僕が仕事を頑張っていられるのは、彼女と約束した英会話レッスンが、毎週木曜日、僕が時々行く喫茶店で行われる事になったからなのだ。


 今日はその木曜日だ。

 僕は仕事が終わると、約束の時間より少し早く喫茶店へ入った。

 店はそれほど広くないが落ち着いた雰囲気に、常連客が殆で白髪頭のマスターも気さくな人だ。
 
 僕は奥のテーブルに座り、用意して置いた本や資料を広げた。


「ご注文は?」

 マスターがお冷を一つとお手拭を置いた。


「連れが来てからで……」
  

 僕の言葉に、マスターは口には出さなかったが、かなり驚いた顔をしていた。

 そりゃそうだろう…… 

 いつもは仕事の帰りに二時間程、コーヒー飲みながら本を読み、一人で過ごしているのだから……
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