好きになった彼は幽霊でした。

あ…小雨の雨降ってきた。金環日食見れるかな。


お昼休み。購買でサンドイッチを買って屋根付きのベンチで食べる。ここから図書室は見えない。


「優馬君…どうしてるだろう…。」


不意に笑ってる優馬君の顔を思い出す。
会いたい…会いたいよ、優馬君。


4限目は体育。小雨の雨はすぐに止み、今日は校庭でのランニングだった。


走っている途中、くらりと視界が揺れる。
倒れそうになったのをたまたま近くにいた男子が支えてくれた。


「柊木さん、大丈夫?」


「あ…ごめんなさい…大丈夫…。」


「そう?ならいいけど…。」


その男子は手を離すと走り去っていった。
最近寝不足だったからかな…。


午後3時35分。
学校の授業が終わってここからは放課後。
調べたら金環日食は午後5時くらいらしいから、急いで寮に戻る。


運のいいことに、今日は図書室は休館日。
いつもなら他の生徒も図書室にいる時間帯だから、優馬君と思うように喋れないけど、休館日は誰もいない。

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