時を超えて君想ふ
大会当日

剣道部の部活に参加していたチカとは
良きライバル関係となった

互いに呼び名を言い、
練習試合を重ね、切磋琢磨している

部活でチカと試合を行い、今ところ引き分け中

チカは相手の隙をつくことが得意で、
奇想天外な動きをすることがある
それには思わず納得し、感嘆してしまう

そんなチカの大会での試合

チカは中堅

詩織のポジションの代わりで
荷が重いと思ったが、
アタシはチカなら大丈夫だという
根拠のない自信があった

試合が始まっていないのにも関わらず、
対戦相手はチカの雰囲気に圧倒されていた

試合中に周りが澄みきり、
自分と相手しかいないと錯覚してしまうような、周りが良く視えるときがある

チカとの試合はチカが
そういう空間に相手を
無理やり連れて行っているような感じがする

そこでのチカはいつもの王子様ではなく、
獲物を狙う鷹のようで、背筋がヒヤリ


試合が始まった

中堅は最も早い展開の場合、
中堅戦で勝負が決まる
そのため、
重要な役割りを担うポジションともいえる

先鋒・次鋒が負けてきたら、流れを変える。

先鋒・次鋒が勝って来たら、
中堅で勝負を決めることのできる選手

チームによっては
最も強い選手を起用する場合がある

だから、相手もなかなかの実力で攻防が続く

けれど、勝負が決まるのは一瞬だった

チカの竹刀が相手の面に
吸い込まれて行くような自然な動き

綺麗に一本が決まった
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