意地悪な両思い

「それが速水先輩の同期みたいなんですよ。


“一色 司”さんっていう


すごい仕事ができるヒトみたいで。」
 ってことは、長嶋さんとも同期ってことだよね。



「僕か木野さんについて回るらしいです。」


「そうなんだ!」
 しかし、司かぁ。恰好いい名前だなぁ。


そのうえ、仕事ができるとは!


速水さんが二人いるも同然だよね、ひえー!


あ、でもそんなすごい人が1か月だけとはいえ、また増えるなんて

「それは……緊張する、ね?」
 思った通り、ですと答える内川くんの眉はさすがに下がっている。



「僕なんかまだまだなんで。

まぁ本部の人と仕事したことないですし、滅多にない機会だから
すごいありがたいことだなって思うんですけど。」


「うん。」
 私はコーヒーを順々についでいく。



「でも市田さんも頑張ってるなら、僕も頑張らなきゃな!
何かやる気でてきました。」


「そう?」
 わたし、何にもしてあげれてないけど。


「はい!うじうじ悩んだってしょうがいないし!」
 彼は私に嬉しそうな笑顔を向ける。



「じゃぁ僕先戻りますね。
そろそろ速水先輩に呼ばれそうですし」


「あ、うん。」
頷いた私を確認して内川くんは給湯室を後にする。



速水さんの同期かぁ……。
内川くんのことも気にかかるし、


今日一緒に帰ったときに速水さんに聞いてみようかな?

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