おはようからおやすみまで蕩けさせて
魘されながら朝を迎えて、起きてもやっぱり一人だということに気落ちした。



「結実、おはよう」


明るい声で私を迎えてくれた人はいない。
もしも離婚すれば、こんな毎日が戻ってくるんだ。

私はそれを望んでるのか。
だから一人にさせて欲しいと思ったのか。



(無いよ。それだけは絶対に)


願ってもない考えに首を振る。
昨日は逆上して一瞬そう思ったけどあれは本心じゃない。

だったら天宮さんに帰ってきて欲しいと頼めばいい。
彼なら直ぐにでも帰ってきてくれる。

拗れないうちにそうした方がいいに決まってるけど……。


分かるんだけど思い切れない。
彼のことがそれほど好きでもなかったんだろうかーー。



バサバサと考えるのを止める様に音を立てて布団を畳んだ。

今夜も一人ならここで寝るつもりで、ソファの上に畳んだ布団を乗せて洗面所へ向かう。


パシャ…と水を顔に当てると、昨夜のことを思い出した。

合コンは盛り上がったのかな。
天宮さんは女子と楽しくお酒を飲んだだろうか。



(……飲んだよね。男だからたまには他の女子と飲むのも楽しいだろうし…)


やきもちを妬けるほどいい妻じゃない。
「悪妻」と山本さんに罵られても仕方のないことばかりしてる。


どうして私はこんな気持ちになっても彼に文字の一つも打とうとしないのか。

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