【完】君しか見えない
「ん?」
突然なに?
ゆっくりと振り向くと、十羽は目を伏せ、もじもじと口ごもる。
「あの、いや、その……」
「なんだよ」
「あ、明日も、会いたいなぁって……」
……は?
思わず言葉を失い、しん…と沈黙の時が流れる。
すると、十羽が顔を赤らめ、慌てたように胸の前で手をぶんぶんと振る。
「あ、あのっ、変なこと言ってごめ──」
「学校、あるけど」
謝ろうとした十羽の声に被せるように口を開く。
「えっ?」