円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
さっさと食事を終えると、
エリノアは一日中、自室に
引きこもって本を読もうと思っていた。

ウィリアムに
台無しにされた朝を取り戻そう。


食事を終え、
伯爵家のギャラリーをのぞき、
興味の赴くまま本を選んでこよう。


伯爵家の書棚は、
まるで図書館のようだった。

2階を貫くように続いている
廊下のような通路の壁に、
ずらっと本が並んでいる。

本棚が壁の天井まで作りつけられ、
棚にはぎっちり蔵書が埋まっている。

長年、伯爵家の当主が
貴重な蔵書集めに力を注いできた結果だった。


エリノアは、上を見上げて言う。

「とても、今日一日じゃあ
全部を見ることはできないわね」

エリノアは、
素晴らしい書棚を見上げた。

一日どころか、
背表紙を見るだけで何日もかかりそう。


「素晴らしいわ」

彼女は、ロングギャラリーを
行ったり来たりして、心置きなく堪能した。

ここは、屋敷に着いてすぐに
訪れたい場所であったけれど、
メイドの姿では近づくことが出来なかった。

本当なら、滞在中ダンスなんて
放っておいて、ずっとここに居たいくらいなのに。


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