キス税を払う?それともキスする?
「それよりもしたいことがあるんです。」

 そう言い出した奥村の提案で、キス病の抗体をチェックする機械を南田はリビングへ持って来た。

「やっぱりこの機械に関わっている南田さんは持っていらっしゃると思ったんです。」

「調べてどうするんだ。」

 今までの流れで嫌な予感しかしない。
 結果次第では終焉を迎えるのだろうか…。
 そんな気持ちだった。

 キス病を調べる機械の使い方は簡単だ。

 そこは提案する時に一番重要だと伝えた所だ。
 簡単でなければ誰も検査などしない。

 奥村も検査を始めた。

 小さい針で自分の血を出して、その血を機械に入れる。
 そうして数分待つと結果が出る。

 数分後、ピッと鳴った機械の画面には「陰性」の文字。
 奥村にもキス病の抗体がないということになる。

 奥村は良かったと安堵した。

 しかし南田にしてみたら、あまり良くなかった。

 陰性だとは…。
 この子はそうでもなくても心配だというのに…。

「良くないだろう?
 僕はまだしも君が自分を守れるとは思えない。」

 万が一、今後この子がキス病にかかったのなら…そういうことだ。

「君は容易いから気をつけた方がいい。」

 問題山積につい苛立った声が出てしまう。

「現に僕にこうして契約を迫られても断れずにいる。」

 僕のような悪い男…いや僕より悪い奴なんて、そこらじゅうにいるというのに。
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