キス税を払う?それともキスする?
 食事が終わり、出したグラスを洗おうと奥村が腰を浮かせた。

「客は座ってろ。」

 そう言葉をかけると意外な言葉をかけられた。

「部屋も片付けられないほどに疲れてる人ができるわけないですよね?」

 強めの言葉に言い返せなかった。

 心配してくれてる…のとも何か違うような…。

 解せない視線を向けつつも大人しく座っておくことにした。

 鼻歌まじりに片付ける姿を見ながら南田は不思議そうに口を開いた。

「君の行動は予測不可能だ。」

 どうしてそんなに嬉しそうに片付けるのか…。それに…。

「何故、今日はいいのか理解に苦しむ。」

 明確な返事をくれずに気分が良さそうな奥村にまぁいいか…と諦めた。

「何か飲むだろう?」

 片付けをしている奥村に声をかけ腰を浮かせた。

「大丈夫です。おかまいなく。
 南田さんお疲れなんですよね?
 疲労困憊がはなはだしいんじゃないですか?」

 グッと押し黙る南田は、やはり心配されているとは到底思えなかった。
 ブスッとした気持ちは見せないようにして、また座り直した。
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