覚醒者３号－第二次調査報告－

機関。

独自に開発した薬品を『予防接種』と称して民間人に投与し、結果超能力に目覚めた者…覚醒者を拉致、軍事利用しようとする集団。

私…黛まどかは、そんな集団に属していた。

私自身も機関に拉致され、片棒を担がされていた一人。

その罪の意識に耐えられず、同じ境遇となってしまった高校生、小山田哲平君を連れて機関からの逃避行を選んだ。

住み慣れた御影市を出て、機関の放つ追跡者から逃げ続ける日々。

時にはこうして、戦闘を余儀なくされる事もある。

ほんの一ヶ月前まで普通の高校生だった小山田君も、否応なく戦いに巻き込まれ、その結果…その能力で何度となく人を殺した。

薬品によって覚醒した超能力…パイロキネシス…発火能力によって、捕獲しようと襲い掛かってくる機関の特殊部隊隊員を焼死させる事、今日で七回目。

…人殺しも三度繰り返せば慣れるという。

真実かどうかは私にはわからない。

ただ小山田君は襲い来る追跡者を葬り去る度に、普通の少年らしい感情を失い、戦士としての顔を覗かせるようになっていた…。