BAD & BAD【Ⅱ】
こんなに激しく執着され、固執されて。
縛られることが大嫌いな私が、喜ぶわけがない。
相手が善兄なら、なおさら。
今回も不意打ちの再会だったけど、免疫でもついたのか、冷静でいられている。
……よし、大丈夫だ。
今回は、反抗できる。
私は震える体を回しながら、片足で善兄の足を払い、首の側面を平手で打った。
否応なしに拘束を解いた善兄との間にできた隙間に、朔が割り込む。
「幸珀に近づくんじゃねぇよ!」
渡部兄弟は外見も運動能力も頭脳もいい、というなんとも羨ましいハイスペックだが、やはり違いはある。
例えば、朔が秀才ならば、善兄は才能溢れる天才だ。
「あれ、朔いたんだ」
「最初からいたわ!!」
周りは善兄の外面に騙されて、クールな絶世の美青年だと思い込んでいるようだけれど。
それは大きな間違いだ。
善兄の本性は――独占欲が異常に強い、ただの変態だ。