BAD & BAD【Ⅱ】




泣きすぎてぐしゃぐしゃになった顔のまま、弱々しく頷いた京ママに、師匠は1滴の涙を流しながら笑った。




完全に全てが解決されたわけではない。



もしかしたら、またいつか、京ママがお酒を飲んでしまうかもしれない。


もしかしたら、またいつか、暴走した京ママのせいで師匠が傷ついてしまうかもしれない。



言い出したらきりがないくらい、あの2人はいくつもの問題を抱えている。




「母さん」

「っ……、なあに?京くん」



でも、第3者の私は、こっそり確信している。



京ママは師匠のために、師匠は京ママのために。


これから2人3脚で、ひとつひとつ、問題を乗り越えていくだろう。



傷つけた分、泣かせた分、お互いにお互いを愛しながら。




「いつもありがとう。これからもよろしくね」



やっと、偽りなんかじゃない、本物の幸せが2人の元に訪れた。


今、師匠の周りを、真っ白な光を纏う星々がキラキラと踊っている気がした。




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