BAD & BAD【Ⅱ】





「……そっか。まだ僕だけを選んではくれないんだね」


「まだじゃなくて、ずっと」


「人の心は移ろいやすいんだよ?」


「私は移ろかない」


「それはどうかな?」




強い独占欲も身勝手な束縛も、善兄のひとつの魅力なのかもしれない。


だけど、自由に生きていたい私にとっては、どれも重量オーバー。



今世では無理だから、来世に期待して?





不意に、チャイムが鳴った。授業が終わったんだ。


もうそんなに時間が過ぎてたんだ。気づかなかった。




「休憩は終わりだ。行かなくちゃ」


「そのままこの世を去れ」


「幸珀も一緒ならいいよ」


「私を道連れにすんな」


「じゃあ、去らずに生きてるよ」




私から離れた善兄は、私と2人きりで過ごせたことがそんなに嬉しかったのか、妖艶に微笑みながら給水塔から降りた。


未だ、恐怖に、囚われる。




「またね幸珀」



善兄はそう言い残して、屋上から出て行った。


バタン、と扉が閉まる音が響く。




地面に座り込んだ私の心臓の奥底で、縛られていたような苦しさが必死にもがいていた。




< 319 / 730 >

この作品をシェア

pagetop