零度の華 Ⅰ


オロオロしたした様子で辺りを見渡している


間違いなく殺しの依頼だと察しがついた


圭はその客を営業スマイルであたしの隣へ促す



落ち着きを見せないその客に零(ゼロ)への依頼かと聞く


いきなり声をかけられ、驚きを見せる



そして、躊躇いがちに「はい」っと頷く

あたしは持っていたパソコンを起動させた

その間に圭が注文を聞いていた



頼んだのはほのかに赤みを帯びているカクテルのようだ


お酒に興味をもたないあたしにとって、横目でそれだけ確認してもどんなものなのか分からない


パソコンが動くと改めて依頼者に問う




『俺はICE(アイス)。早速だが殺したい相手は誰だ?』


「...........証券会社に務めている東隆弘-アズマタカヒロ-って男」


少しの間があった後に口を開き、詳しく話すから調べる手間がほんの少しだけ省けた




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