《完結》アーサ王子の君影草 中巻 ~幻夢の中に消えた白き花~
不思議とよく通る落ち着いた女性の声に直感が働く。振り向くとそこにはやはり昨夜ライアと一緒に居たあの酒場の麗人が立っていた。
「ヴァレンシア!? いつから居たんだ?」
「ん、いい子だ……の辺りからよ?」
ヴァレンシアと呼ばれた女性は余裕をたっぷりと含んだ笑みを浮かべながら小首を傾げる。間近で見るとより婀娜やかで、スズランは幼い自分との差に衝撃を受けた。
「っ…居たならもっと早く声をかけてくれよ!」
「だって貴方見てるとおもしろいんですもの」
何かを見透かす様に鼻先で嘲笑するヴァレンシア。だが決して嫌味ではない。
「まったく、ヴァレンシアには敵わないって」
ライアもそんな彼女には抵抗すらせずにはにかんだ。やはりこの二人が醸し出す雰囲気はどう考えても恋人同士の男女そのものだ。
先程確かめ合った想いを疑う訳ではないが、どうしても不安な気持ちがじわり。
「あら! ……貴女。そんなに不安そうな顔しなくていいのよ? ライアはね、貴女の事で頭がいっぱいなんですから! ね? ライア」
突拍子もないヴァレンシアの言葉にスズランは何度か瞬きをした。
「えっ! そうなの?!」
「うっ…勘弁してくれ…」
「ヴァレンシア!? いつから居たんだ?」
「ん、いい子だ……の辺りからよ?」
ヴァレンシアと呼ばれた女性は余裕をたっぷりと含んだ笑みを浮かべながら小首を傾げる。間近で見るとより婀娜やかで、スズランは幼い自分との差に衝撃を受けた。
「っ…居たならもっと早く声をかけてくれよ!」
「だって貴方見てるとおもしろいんですもの」
何かを見透かす様に鼻先で嘲笑するヴァレンシア。だが決して嫌味ではない。
「まったく、ヴァレンシアには敵わないって」
ライアもそんな彼女には抵抗すらせずにはにかんだ。やはりこの二人が醸し出す雰囲気はどう考えても恋人同士の男女そのものだ。
先程確かめ合った想いを疑う訳ではないが、どうしても不安な気持ちがじわり。
「あら! ……貴女。そんなに不安そうな顔しなくていいのよ? ライアはね、貴女の事で頭がいっぱいなんですから! ね? ライア」
突拍子もないヴァレンシアの言葉にスズランは何度か瞬きをした。
「えっ! そうなの?!」
「うっ…勘弁してくれ…」