アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
 それにしても過保護が過ぎる……。
 今までユージーンやセィシェルに散々と過保護に扱われてきたが、ラインアーサはその中でも一等過保護だ。

「へえ、平気なのか。じゃあ次はもっと激しく求めても良い?」

「駄目! そ、そんなの無理…!」

「どうして?」

「だって……すごく…」

 言いかけて口篭る。
 さらに背中に密着する熱い肌。熱い吐息にもはや全身が湯だりそうだ。わざとらしく耳元で囁くラインアーサの余裕たっぷりな声に翻弄される。

「遠慮しなくてもいいなら、もっとたくさん可愛がりたいけど」

「……ライアの、馬鹿ぁ…」

「ふふ。可愛い」

「むぅぅ。からかうのずるい!」

 抗議をする為身体ごと向き直ると、ラインアーサは瑠璃色(るりいろ)の瞳を細めて嬉しそうに破顔した。そのまま小さく「おはよう」と啄む様に唇を奪われる。昨晩の激しさを含んだ性急なものとは違う穏やかな口づけだ。

「っ…お、おはよ…」

「からかってなんかないよ。今日は久しぶりの休日なんだし、たまには二人でゆっくりしようか?」

「!! ゆっくり、できるの?」

「ん。そうだな…。このまま二度寝するのも魅力的だけど、やりたい事も溜まってるしな」
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