愛、ですか…？

｢あんなに毎日君に尽したのに
着てくれないの！？｣

ほぼ怒鳴り声だった。

ヴーヴーヴーヴー

電話…

“谷口翔”

｢家の人から電話きたからちょっと待ってて｣

｢え、うん。｣

ごめん。田村くん。

あなたのことが怖いと感じたんだよ。

だから嘘をついた。

｢もしもし、｣

｢市ノ瀬？大丈夫か？
なんか田村っていい噂聞かなくて、｣

谷口翔とはあの日以来喧嘩みたくなってて

連絡取ってなかったのに

なんでこーゆー時だけ分かるんだろう。

嬉しいじゃんか。

助けてって言いたくなるじゃんか。

あーあ。涙が出てきた。

田村くんにどう説明しよう。

鼻も出てきた。

鼻をすすれば、

｢泣いてるのか？｣

｢…、｣

谷口翔に何をどう伝えればいいか

わからなかった。

だって谷口翔の言われた通りだったから。

こんな私のこと1番に好きでいてくれる人

なんていなくなっちゃうね。