星降る丘でキミを憶う

考える時の癖なのだろうか。

シヅキはまた空を見上げた。

「例えば、例えばだけどね。楽しいことをしてみるとか」

「楽しいこと?」

「よく言うでしょ。死ぬ時に未練があると天国にも地獄にも行けないでこの世に残るって」

「地縛霊とか?」

「地縛霊かー。怖いね」

「シヅキのことだけどな」

「そっか。やだなー地縛霊。まだ幽霊のほうが可愛い」

「可愛いか?変わらないだろ」

「変わるよー。地縛霊は怖いよ」

「そうかなぁ」

「そうだよ。だから、ね?時間がある時だけでいいから付き合って欲しいの」

シヅキが顔の前で手を合わせて拝むように俺を見る。

幽霊に拝まれるってのもなんだか変な感じだ。
< 52 / 332 >

この作品をシェア

pagetop