A・O・I
考えもしなかった。
この目を見て、産みの親は名前を付けたのかも知れないなんて...........。
「それじゃあ早速、お料理出しましょうか?」
「あっ...........はい!」
「うちは大皿料理が、このお皿に盛って一律500円で、メニュー表に載ってる料理に関しては、別料金でお作りしてます。何か好きな物ありますか?」
「え~っと...........それじゃあ、この大皿の和え物と.........あと、メニューから金目の煮付け、ご飯とお味噌汁も一緒にお願いします。」
「かしこまりました!」
店内には、既に数人先客が居て、こうしている間にもどんどん客が入店して来ていた。
それぞれが皆、親しげに店主に話しかけては、笑いながら席に着く。
店主の小夜さんは、見た目30代半ばくらいの小柄な女性で、クルクル動き回る姿がとても可愛らしい。
何となくだけど、結婚したい理想の女性を体現した様な存在だ。
料理上手で、家庭的で、優しくて、話も上手い。
オマケに着物がよく似合っていて色っぽい。
皆がこぞって話し掛けに来る理由が分かる気がする。
「はいっ!お待ちどうさま!!小松菜の和え物と、金目の煮付けね!!」
「お願いします......。」
「若い人が、うちの店に来ること自体珍しいから、ほら見て.....フフッ......さっきから常連さん達がチラチラ気にして見てる。」