sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


「あ、あのっ。いいです、あとでクリーニング出しますし」

「時間が経ったら余計落ちにくくなるだろ」

「でもあの、恥ずかしいので……」


正直にぽつりとこぼした瞬間、綾辻さんの手が止まる。

ああよかった、この状況がおかしいってやっと気づいてくれたんだ。

そう思って安堵したのもつかの間、スッと立ち上がった彼は私の耳元に唇を寄せ、甘美な声で囁いた。


「……これからもっと恥ずかしいことするのに?」


ぶわっと、顔全体に熱が広がる。

そ、それはその通りかもしれないけど、今そんなこと言わなくたって!

胸の中で動揺が暴れまくる私に対し、彼は涼しい顔でカウンターにおしぼりを返しに行ってしまう。

私、あんな人を相手に色仕掛けとか、全くできる気がしない……。

でも、祥平さんの顔を立てなくちゃならないし、一度はやると決めたことを投げ出すのも癪だ。

彼が戻ってくるまでのわずかな間で何とか気持ちを立て直し、私はグラスに残っていたお酒を飲み干してソファから立ち上がる。もう部屋へ行きましょうと、彼を誘うつもりで。

そして彼がちょうど戻ってきたとき、さも余裕がある大人の女っぽい笑顔を浮かべて、その腕に自分の腕を絡ませた。

こうなったら、胸だって押し当てちゃうんだから。


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