sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜

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なんだかいいにおいがする。パンと、紅茶かな?

そういえばお腹空いたな。でも、まだ寝ていたいし……。

うとうとしながらそんなことを思い、寝返りを打つ。

でも、まぶたの向こう側がいやに眩しくて、もう朝なんだ、と仕方なく起きることにした。目をしょぼしょぼさせながら上半身を起こし、まずは状況確認。


「……いないよね、やっぱり」


広いベッドに寝ていたのは、私ひとりだけ。

綾辻さん本人の姿はもちろん、昨日彼が脱ぎ捨てた衣類もなくなっている。

家に帰ったのか、そのまま出勤したのか……って、今、何時?

今日は月曜日で普通に会社のある日なんだし、私ものんびりしている場合じゃないかも!

慌てて布団を剥ぎベッドから降りると、自分が素っ裸であることに気付く。

まあいっか。ここには私しかいないんだし……それより携帯、携帯。

ソファの上に置いてあったバッグから携帯を取り出し、まだ六時台であることを確認してちょっと落ち着く。

とりあえずシャワーを浴びてから、一度家に戻って着替えたいな。いちおうみーちゃんに連絡しておこうか。

裸のままベッドの上に戻り、うつぶせで携帯を操作し始めたそのとき。


「おはよう、千那」


背後からここにいるはずのない綾辻さんの声がして、私の動きがフリーズした。

今のは、空耳……? にしては、ハッキリ聞こえたような。

怪訝に思う私の耳に、彼のものらしき足音まで近づいてくる。

え? え? ……なんで、まだここにいるの?


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