sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


帰宅すると、朝帰りということもあってみーちゃんに昨夜のことを根掘り葉掘り聞かれた。

けれど、会社に遅刻しちゃうから、と何とか逃げて、遅刻ギリギリに出勤。

オフィスに着いて、祥平さんへの報告はいつにしようか、と彼のいる部屋のほうへ視線を投げると、ちょうどガラス越しに目が合った。

……彼の方も報告を待っているのかもしれない。

私は仕事の準備を済ませてすぐに、祥平さんのもとへ向かった。


「え……成功した?」


さっそく私の報告を聞いた祥平さんは、信じられないという風に瞬きを繰り返した。


「はい。……そんなに驚くってことは、私のこと信用してなかったんですね。っていうか、どうせ無理だと思ってた、的な?」

「いやいやいやいや、よくやってくれたね、ありがとう」


祥平さんの取り繕ったような笑顔がうさん臭い。やっぱり、信用されていなかったのかな。

拗ねたような気持ちになりつつ、私は尋ねる。


「そういえば聞き忘れていたんですけど、祖父の耳にはどうやって入れるんです?」

「ああ、それはね。僕が部下であるきみから“綾辻弁護士に無理やり体を奪われた”と泣きながら相談を受けたということにして、副社長と社長に報告することになってる」

「なるほど。副社長は知ってるくせに知らんぷりして、“お孫さんを手に掛けるとはなんという不届きな弁護士だ”とかわざとらしく言うんですね」

「うん、おそらくは」


なんか、ドキドキするな……。っていうか、今さらながら祖父をだますっていうことに罪悪感もわいてきた。

そのことについて祖父に直接聞かれたらどうしよう。うまく答えられる自信がない。


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