sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「……千那? なんかあったのか?」
「副社長に……キス、され――」
「されたのか?」
されそうになった、という前に、目の色を変えた詠吾さんが急に振り返って、私の二の腕を両手でつかんだ。
慌てて首を横に振った私は、詠吾さんに誤解されたくなくて、さっきの出来事を説明した。
「される前に、逃げたから平気です。……副社長、“綾辻を出し抜くには、もうこれしかないんだ”って言ってました。詠吾さん、副社長とは幼なじみなんですよね? どういう意味かわかりますか?」
上目づかいで尋ねると、詠吾さんは難題にぶつかったかのように眉根を寄せ、押し黙った。
その反応を見る限り、何か思い当たる節がありそうだ。
「詠吾さん?」
「奴のこと、なんとかしなきゃいけないのはわかってる。でも、まだカードが揃ってないんだ」
「カード……?」
私にはなんのことだかさっぱりだ。
目を瞬かせてキョトンとする私に、詠吾さんはすまなそうに苦笑した。
「そのうち、ちゃんと話すよ」
そしてようやく一階のボタンを押すと、詠吾さんはまたこちらを振り返った。
「ところで千那」