【完】天使くん!これは友情ですか?恋ですか!?


「夏海」


「ふあ!?」




 いきなり手を掴まれて、慌てた私は荷物を放り投げていた。ラーメン屋の入り口で無様な姿を晒してしまい、何とも言えない気分に心が萎える。



 でも、ドス黒い感情が流されていくような雪乃の声に安心していた。



 そんな私の荷物を丁寧に拾いながら、雪乃が微笑む。




「ほら、邪魔になるから早く」

「うん……」




 そう言って誘う雪乃だったけれど、すぐに動きを止める。今度は私が雪乃を動かして席に誘導する。



 もう、ここまできたら話し合うしかないって思った。




「夏海、これ」


「ありがとう」




 雪乃が回収した荷物を受け取ろうと手を出す。
 その瞬間、雪乃の頬に涙が伝い、渡そうとしていた本に落ちる。




「雪乃……」


「ごめん、なさ……っ」




 私が図書館で借りてきた本。
 それは専門書で、DVやモラル・ハラスメントについて書かれたものだった。

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