呪われ姫と強運の髭騎士
 僅かに扉を開けて覗かせた顔に、見覚えがありソニアは「あっ」と驚き、顔を綻ばせた。

「セヴラン様?」
「覚えていてくれたんだね、ソニア」
 
 セヴランと呼ばれて、一旦顔を引っ込ませ扉を開けて堂々と入ってきた青年は――
 
 一言で言わせれば『眉目秀麗』な姿だった。
 
 日に透けるような金髪は緩やかなウェーブで耳にかかり、若草色の瞳は早春の若芽を思わせ、上品に上がる唇は甘い囁きがよく似合いそうだ。
 
 色白の顔がキラキラ輝いているのは、ラメ入りの粉をはたいているのか。
 
 瞳と同じ色の上着を着込み、レースのスカーフを襟に品よくまとめている。
 
 スリムなタイツに、彫りが入った膝上のブーツ。
 
 余計な贅肉が付いていない彼の体型に、よく映えた。

(今流行りの膝上ブーツ! それに緩めのカールヘアスタイル! 顔にラメ塗してキラキラ効果!)
 
 ソニアの目は、クリスから聞いた流行のスタイルを素早くチェックに入る。流石この辺り女の目は厳しい。
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