呪われ姫と強運の髭騎士
 ソニアは恥ずかしいなんて、可愛らしいことなんか言っていられない。
 
 自分がパトリス陛下の話をきちんと聞かないで勘違いした挙げ句、彼の顔を見て悲鳴をあげて気を失う。
 
 最高位の騎士、しかも国の守り神と敬やまれている彼に、何て言う失礼なことを仕出かしたんだろう。
 ソニアは気色を失いすぎて、白を通り過ぎて青くなっていた。
 
 顔色が回復しないままに朝が来てしまい
「体調が良くなったら連絡を。出直してきます」
 気を悪くすることなくそう言ってくれたクリスフォードに、ソニアは心の底から悪かったと思った。

 だからこそ
「いいえ、大丈夫です。ご心配をおかけして申し訳ありません」
と、支度をしなおして馬車に乗り込んだのだ。
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