呪われ姫と強運の髭騎士
 その取り乱した姿に三人は外に監視を置いて部屋から一旦出ることにした。

「姫君」
 
 退出する際にクリスは、長椅子の肘掛けに、顔を埋めて身体を震わせているソニアに声をかけた。

「忘れないでください。貴女を救いたいと思っている者達がいることを」
「……クリス様だって迷惑だと思っているくせに。神に見放された呪われ姫なんて『ディヤマン』であるクリス様にはお荷物なだけだわ」
 
 顔も上げずクリスの顔も見ないで言うソニアのセリフは、ひねくれたものだった。

 
 一人にして! 
 

 ――そう泣きながら喚くソニアの願いを叶うしかなく、クリスは後ろ髪を引かれながら部屋を出ていった。
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