呪われ姫と強運の髭騎士
 金だ。
 
 全て自分の背負う財が欲しいんだ。

 
 王は、財によって国が混乱するのを阻止したいだけ。
 
 セヴランは、自分と恋人が贅沢な暮らしをしたいだけ。
 
 クリスは――

(……何のために、私に?)
 
 疑問が湧き出たが、極限にまで疲労した精神が考えることを拒絶させる。

(どうせ、噂の王太子妃に関するご褒美でも掲示されたに決まってる。それか王の命令だわ)

 
 一人だ。
 
 自分自身を愛して、心配してくれる相手なんていないんだ。

 
 寂しさに震えた。
 
 急に体温が下がった気がして、ソニアは肩を掴み身を縮める。
 
 修道院から出なければ良かった。
 
 パメラと、いつか自分だけを愛してくれる伴侶はどんな人なのか、想像を巡らしながら語り合っていた日々が一番幸せだった。
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