呪われ姫と強運の髭騎士

(6)

「お帰りなさいませ、クリスフォード様」
 
 厩に馬を入れている時を見計らうように、マチューがやって来た。

「クリスで構わんよ」
そうくだけるクリスに
「ソニア様の旦那様になるお方に、自分の友人さながらの扱いはとてもできません」
と、いやいや、とマチューは苦笑混じりに断る。
 
 仕方ないと軽く肩をすくめるクリスに、マチューは声を落とす。

「それで、司祭様の本音は聞き出せましたでしょうか?」
 
 実は――何度か司祭に悪魔払いを依頼していたのだが、何かと理由をつけて断られていたのだ。
 
 今回もクレア家を継いだソニア依頼だとしても、引き受けてもらえるか怪しいところだ。
 
 そこでクリスが名乗りを上げ、使者の後を隠れて追って様子をみていた。
 
 断る裏に、何か隠された陰謀がないとは言い切れないからだ。
 
 やはり断りをいれられて肩を落とし帰っていく使者を見送って、クリスは司祭と対談した。
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