たんぽぽの花束を君に
ハルカゼ

「ねぇ、蓮くん、見てたんぽぽ」
「わぁ、俺黄色いたんぽぽが好き」
「俺は白」
「私も白」
「僕はどっちも」









ーー



「おい、起きろ!水池!水池蓮!明日から春休みなんだ、明日寝ろ!」

ひどく体を揺らされ、重たい体を起こす。

「…ん…もぅ帰り?…」
俺は遠い遠い昔の幼い時の夢をみていたみたい。
ちょうどこんな日だったかな…
と、夢にひたってる間も無く
「聞いてんのか?水池。」

俺の頭をクシャクシャとごっつい手でかき乱しながら顔を覗き込んで来る。

「…ぷっ、ヤジ先、顔真っ赤だけど…」
「ったく、水池、お前が顔を赤くさせてるのが分からないのか?」


「知ってます。」
「…職員室に呼ばれたいのか?」
「いやです、今から集中いたします、矢島先生!」
「それでいい」


真っ赤な顔は
俺に向けられていたが、数秒睨めっこをした後に黒板に向けられた。
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