たんぽぽの花束を君に






ーーー







それは丁度、華がいなくなる何日か前。
涼とケンカして、何日間も目の前にあるいつもの公園に行けなくて、
涼の顔を見るなり、
逃げるように走ってここに来た俺……

そんな俺を放っておけなくて、あいつは後ろから追って来てた。


それであいつ、こんなどうでもいい話しし出したんだ。



「蓮くんね、私、サクライってお名前でしょ」

「うん!…桜だ!」
「そうなの!だから、華ね、桜大好きなんだ」
「本当だ!サクライ ハナ。 桜の花だ!」
「うん!」

自分よりも大きい
淡い桜の色と、華の笑顔が同化したように見えた。









ーー


この時だったかもしれない。
俺、華をちゃんと女の子として見た瞬間…だったのかも…










「あの、すいません」

その言葉で昔の記憶から現実に引き戻される。

「…はい」












その瞬間、








時が止まったかと思った。











< 12 / 13 >

この作品をシェア

pagetop