シトラス。
❁︎

「……っていうことになったの!」


中庭のベンチにひよりと座ってお昼休み。


香織は委員会があるから、と抜けていってしまった。



ひよりからもいろいろアドバイスをもらいたくて、



イケメン大作戦の内容とその経緯を、ひよりには知って欲しいと告白した。





「マジかっ!!!てか、ホントにその……圭くん?って越後くんに似てるの!?!?」




と、ひよりは佐々木くんに興味津々だ。





「ホントに似てるの!!なのに、普段はモサ男だからもったいなくて!」



私は紙パックオレンジジュースを1口。



「華那、それはイケメンにしたら終わるの??」



ひよりは購買の菓子パンをぱくり。



「そう!!イケメンにしたら絶対越後くんになるし、越後くんが同じ学園にいるって思ったら、私学校来るの楽しいし!」





「ふーん……」




ひよりは何かを思っているようだ。




「何、ひより、腑に落ちないって感じじゃん!」





「い〜や??べっつにぃ〜??」




にやにや。




ひよりはこう見えて凄く頭がいい。


頭がいいなりに、何かを悟っているようだ……。




するとそこへ、


「黒澤さっ……」ドッテーン。



私たちの座っているベンチの横の花壇につまづいて、派手に転んだモサ男。



………






「え、佐々木くんじゃん」



「え!!この人が越後くん?!?」






いてて、と佐々木くんは起き上がるが、顔面を打ち付けたようで鼻血が出ている。




メガネはボロボロ、服は泥だらけ、頭はモサモサ。





「………なわけないか、でさ、」




ひよりはそのまま話を続けようとする。




「いや、待て待て待て待て、佐々木くんだから。越後くんだから」



こんなに佐々木くんは体を張ったのに無視とは、私の良心が痛むのだ。



「なわけ笑」
…と現実を受け止めようとしてくれないひよりを横目に、


私は佐々木くんの前にしゃがみ、ティッシュで鼻血を拭いてやる。




「も〜、大丈夫?ホントに鈍臭いんだから」




「うあ〜、ずみばぜん…」



佐々木くんの腕をとって立たせる。




「怪我は??」



「多分……ない…です…」




「………で、なんの用だったの??急ぎ??」



佐々木くんの背中のドロを取ってやる。



「あっ、あの、そのっ………」


顔を真っ赤にして佐々木くんは俯いてしまった。





「………いいよ??ゆっくりでwほら、ベンチ座って」



と、佐々木くんをベンチに促し、ひよりを回収してベンチに落ち着けた。



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