【B】眠らない街で愛を囁いて
11.孤独な時間に寄り添うぬくもり -叶夢-


目が覚めたらどこか知らないところにいた。


ここ暫く体調不良が続いていて、
体の節々が痛くて、耳鳴りに脅かされ続けてた。



だけど今は、随分と楽になっているのを感じた。


ベッドから抜け出して手探りで、お手洗いへと向かいそのまま、
大きな塊が見える場所へと潜り込む。



『とら』


私の大切な愛犬。
ゴールデンレトリバー。



『とら……少しだけ一緒に寝てもいい?
 今日は独り寝が寂しいよ』


っと背後からとらに手を回す感じで、
私は再び、眠りの中へと落ちて行った。





次に起きた時、胸の辺りにある、とらとは違う感触に気が付く。



「えっ?」


ゆっくりと視線を向けると、そこには『とら』は居なくて、
寝息を静かにたてる泉原さん、その人の姿を確認した。



「えっ、ぎぁああ」


思わずどうしていいのかわからなくて、叫んで自分のベッドへと飛び戻り、
掛布団を頭まですっぽり被る。



もぞもぞと、泉原さんが動く気配を感じる。




「叶夢ちゃん、目が覚めたの?」



そういつものように優しい声をかけながら、
泉原さんは私の傍へと近づいてくる。



「起きてるんでしょ。
 その掛布団少しずらしてもらえると有難いかな。

 昨日から今日までの情報を共有しよう」


昨日から今日までの情報?
そう言われて私は記憶がすっかり抜け落ちてしまっていることに気が付いた。



恐る恐る掛布団をゆっくりと下にずらして、
ベッドの上で体を起こそうと試みる。


そんな私の背中に、すかさず手を添えてから体を起こす手助けをしてくれる。



「昨日、コンビニのアルバイトにきたのは覚えてる?」

「はい」



そこまでは覚えてる。

そこでお客さんとして買い物に来た、泉原さんの姿を見た気がする……。
だからって、なんで同じ布団で寝てたの?
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