君は僕のもの




ずっと傍にいたから。

こうゆう関係が当たり前だったから。



…二人が言うように、樹のことをそんな風に考えたこと無かった。


「そんなこと…、あり得ないよ…っ」

蚊の鳴くような声であたしはそう言うと、みんなと同じように自分の席に向かった。




――――――――――――

―――――――――

――――…。







時間はもう放課後になり、

今日一日、あたしと樹が会話をすることはなかった。




でも、どうせ帰りは…


そう思っていた時だった。





「…あ、樹くんっ

今日こそ、一緒に帰れない、かな?」


あ…、



隣のクラスの城田さんだ…。

すっごい美人なんだけど結構な男好きって噂を聞いたことがある気がする。




そんな声を聞いた後、あたしは城田さんの声を気にすることもなく、また帰りの支度をしだす。



樹はきっといつも通りに断るんだろうな…


なんて、

…あたしは思っていたから。



勝手にそう、思っていたから。





「いいよ、帰ろっ」


…っ!





「…えっ!?…いいのぉー?

結華、嬉しいなぁっ」


そう言うと城田さんは、あたしにニヤッと嫌味な笑顔を向け、樹の腕に自分の腕を絡めた。



「…樹、」

小さな声であたしがそう呟くと、

何も感じていないような無心な表情であたしを少しだけ見た。




「早く行こう」

樹はそう言って、城田さんの腕を引いた。



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