君は僕のもの

終わった…

あたしの人生はあんな小さなアレのせいで終わりになるんだ。


今考えると…、笑える。かも、




「…愛梨…っ、」


少しで切なそうな声で、あたしの名前を呼ぶ声が聞こえる。




「…や、…やだ…」


小さく、蚊の鳴くような声で、




「…ねぇ、愛梨、顔…、上げてよ」


「…っ、」



何も言えない…。





「じゃぁ、…そのままでいいから聞いて？


…好きだから、愛梨に手、出せなかったんだよ…」




何を言うのかと思って精一杯、歯をくいしばってたら、…そんな言葉が聞こえてきた。






思わず顔を上げて樹の顔を見る…



「…樹？」

「見んな、…バカ」


少しだけ赤くなった顔を、手で隠すようにしてそっぽを向いて…、




「…俺はさ、嬉しかったんだって

愛梨も、ヤりたいって思ってくれてて」


いつもの悪戯な笑みを浮かべてそう言うと、樹はあたしの両目に溜まった涙を拭った。





…ヤ、ヤりたいって…？！