キミの音を聴きたくて


「……へぇ、面白い」



嫌いって言われたのに面白いだなんて。
この人はやっぱり変な人だ。




天才は少し気がおかしい、と聞いたことがある。



この人も反応がおかしいから、やっぱり彼も天才の部類に入るんだろうか。



なんて悶々と考えていたのは、私だけの秘密だけれど。




ニヤリと笑みを浮かべていた彼は、私の失礼な言葉にも動じない。



でも……このままここにいたら、何されるかわからないよね。




「……し、失礼しましたっ」



屋上いっぱいに響く声で叫ぶと、急いで会長に背を向けて走り出す。



追いつかれないように、全速力で。

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