偽りの婚約者に溺愛されています

本物の婚約者が現れました

三人でお互いの顔を見合い、沈黙になる。

一体これは、どういう状況なのだろう。

お見合いを避けるために偽りの恋人を演じた上司。
その彼の弟と、実際にお見合いをしている自分。
結婚話を消すために、私に形だけの見合いを頼んだ、彼の弟。

私は悪いことをしているのだろうか。
智也さんに謝るべきなのか。だが私を好きでもない彼に、詫びるのもおかしな気がする。

「兄さん。驚いたよ、急に現れるから」

修吾さんは、場の空気を和ませるように智也さんに言った。

「……驚いたのは俺のほうだ」

彼はぼそっと呟くように言うと、私を見た。

「着飾るように言ったのは、他の男のためにじゃない」

「え?」

私は彼の言ったことの意味がわからなかった。ただ唖然とするしかない。

「なにがどうしてこうなった?説明してくれないか」


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