1 week

「秋吉です。」

「下の名前は?」

「え?あー、夏月です。夏の月って書くの。」

「日向と夏月なんて太陽と月みたいですね。

だからしっくりくるのかな。」

こんな若くてカッコいい男の子にそんなこと言われたら倒れそうになる。

武原はその日から私の中で日向くんと呼ばれている。

私は日向くんに高い所にある本を取ってもらったり
本棚を背に棚ドンされる白昼夢を見るようになった。

その時、店の奥に居た男が一冊の本を万引するのが目に入った。

その男に本を盗られたのは一度や二度じゃなかった。

とうとう捕まえたと思って忍び寄る。

「お客様、あのお会計まだですよね?」

出口付近で他の人にわからないように声をかける。

すると突然男が走り出した。




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