エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 この際、腎臓の一つぐらいならくれてやってもいい!!

 そう考えながら返事を待ったのに、返ってきた言葉は耳を疑うものだった。

 「イヤ〜簡単な事だよ。君の奥さんをレンタルしたい。うちの後継ぎを設けてくれたら君にまたお返しするから……簡単だろ?」

 (弥生をレンタル!?この男、何を言いやがる。人をビデオかCDをレンタルするように軽くいいやがって!)

 心の中で工藤はそう叫んでいたが、中条の目を見たらNOの言えない取引きだと言う事が分かった

 すると、中条は

「分かってるだろうが、断ったら即座に街金の取り立てが、ぞくぞくとやってくるぞ!そしたらどうなる?金が返せなければ、どのみち弥生は持って行かれるぞ!」

 (やはりなーこの男には逆らえない。)

 工藤は腹を決めた。
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